こども哲学ハンドブックという本を書きました。

2018年5月頃から(と記憶しております)、1年以上に渡りコツコツ執筆していた本がついに発売されることになりました。本日8/21より書店に配本される予定です。 著者名は所属する団体名となっていますが、本を開いていただくと、奥付に執筆者の一人として私の名前を見つけていただくことができるかと思います。

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Amazonからも購入可能です。

こども哲学ハンドブック 自由に考え、自由に話す場のつくり方

こども哲学ハンドブック 自由に考え、自由に話す場のつくり方

なぜITのあの字もないような本を書いていたかというと、私は実は平日日中帯のお勤め以外のプライベートの時間を一部費やして「こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ」(以下、アーダコーダ)という特定非営利活動法人で理事をしています。 (お仕事の繋がりの方が、この活動もしているというのをあまりお伝えできていない気がしたので、こういう書き方をしてみました。哲学畑で知り合った方の方が普段はITの人というのをご存知かもしれない)

この本は、その団体が年に3-4回のペースで開催する講座(ワークショップ)の内容を文字やイラストに起こしてまとめたものです。

どんな内容かをざっくりご紹介すると、「哲学」という、これまでアカデミックな場でしか触れる機会がなかったものを、日々のくらしの中や、身近なコミュニティで楽しむことをおすすめしたり、そういう場をつくりたい人にいろいろな方法や、楽しむためのコツをお伝えするための本です。 しかも、それを幼稚園から中高生くらいまでのこどもと一緒にやることを念頭にしています。

なので、内容もたとえばプラトンアリストテレスの議論や文献をおさらいしたり、哲学の歴史をたどるようなものではありません。 日々こどもが触れる何気ない問い、ただし、「答えが1つとは限らない、答えがすぐには出ない、あるいは答えがないかもしれない」ような哲学の文脈でも扱われるような問いについて、おとなが答えをこども教えてあげるのではなく、なんとかして一緒に取り組んでいくための本になっています。 そういったことに興味がある、哲学っぽいアプローチで問いを解決していくことを試してみたい方向けの(学術書ではなく)実用書です。

哲学なんて勉強したことがないからよくわからん、という方でも関係なく読める本になっています。日々のくらしで哲学するってどういうこと?と気になった方はぜひ読んでみてフィードバックください。

最後に

団体が発足したての頃に一番によせられれていた声は、こどもがいるおとなや、学校の先生が、こどもと哲学をやりたいというものでした。学習指導要領の改訂や、アクティブラーニングという言葉への関心の広まりも追い風になって、今ではこども哲学は全国で、有志のコミュニティだけではなく、学校の中でも実施されています。

実はジョインした当時の私の個人的なモチベーションは、友達とボードゲームで遊ぶように、哲学っぽい対話を日々のくらしに持ち込みたい、哲学っぽい対話で遊べる仲間を増やしたい、というところにありましたが、数年をかけて、私の思惑や想像をはるかに超えた活動になっています。

私が団体にジョインした2014年ころは、今とはまた別の会社でめちゃくちゃ時間を使って仕事ばかりをしていて、かつその環境では、とにかくビジネスにとってメリットのある答えをいかに早く出せるか、ということが重視されていました。 大学時代に哲学講座に所属して、日がな抽象的な話をさかなに安酒を飲んでいた学生時代がなつかしくなっていた時期でもありました。会社員になって数年経って少しそういうことを懐かしむ余裕がでてきた頃だったんだと思います。その頃、学生時代の友人に声をかけたら、ちょうどこの団体が発足される間近だったので、私自身はしばらく哲学から離れてしまっていたのでが、無理をいって立ち上げメンバーに混ぜてもらったのでした。

そこから数年して、このような執筆の機会をいただけるようになったのは、チャレンジする機会を持たせてくれてサポートしてくれた力強いメンバーのみなさまのおかげと思っています。すごく感謝しています。